ナスの養液栽培に挑戦しよう!EC管理編

ナスの養液栽培のポイントは給水量とEC管理! 養液栽培

養液栽培を始めて3年のはたけもんです。

ココバッグを使った隔離栽培で、トマト、ナス、ピーマンを栽培しています。

この3作物の中で一番難しかったのは、圧倒的にナス。

はたけもんの失敗例も交えて、ナスのEC管理についてご紹介します。

何故なんだ!下葉が黄色く変色し、日に日に弱っていく養液栽培のナス

果菜類の養液栽培技術は、トマトを中心に研究が進んできました。

当然はたけもんもトマトをベースに勉強を進め、ナス科野菜の養液栽培に挑んだのです。

トマトは勉強した通り、またピーマンは適当な設定でもそれなりに生育してくれました。

ところが、そうはいかなかったのがナスです。

生殖生長へと切り替わるころ、急に下葉が黄色くなって弱っていく…

環境制御ハウスのオペレーターとして気が気でない日々を過ごしました。

これはのちにわかった事ですが、ナスの養液栽培にとって重要な事は無理なく肥料成分を吸収できるEC濃度と給水量。

順を追ってご説明します。

定植直後のナスは根張りが命!

養液栽培でバッグに定植する場合、定植適期は本葉2~3枚ほど。

育苗環境にもよりますが、定植時のECは0.5~1.0程度にしておけば間違い無いでしょう。

問題は、給液量と給液回数です。

同じナス科でありながら、トマトとナスでは根の動きが全く異なります。

トマトほど根の動きが旺盛でないナスは、給液を間違うと根が伸びません。

結果として、気づかないうちに地上部先行の生育となり、着果負担が本格的にかかり始めた時に急ブレーキがかかってしまいます。

そして、そのステージにまできてしまったらもう取り返しがつきません。

つまり、生殖生長に突入する前にどれだけ根を張らせるかが勝負なのです。

定植後のナスの給液量について

定植後のナスの根張りには、給液回数が関係しています。

まず給液量ですが、初期は一回につき100~150ml/株ほどが標準です。

問題はその回数。

あまりに頻度が多すぎると甘やかされてしまい、ナスの根が伸びにくくなってしまいます。

経験的には、2時間に一回。

朝は9時ごろから開始し、夕方15時には切り上げましょう。

この環境はナスにとってややストレスがかかっている状態です。

このストレスこそが、生育初期のナスに根の伸長を促しナス自身を強くしてくれる秘訣です。

定植直後から着果が始まるまでのナスの給液量管理

給液頻度は変わらず2時間に1度でよいでしょう。

ただし、1回あたりの給液量は生育に合わせて増やします。

目安は廃液率。給液量に対して廃液率が30%を切るようなことがあってはなりません。

目標は40%~50%。

トマトの感覚からすればかなり多いですが、ナスは水で育てるものと古くから言われている通りです。

着果負担が本格的にかかり始める頃には、一回あたりの給液量は100ml→200ml以上に増えている事でしょう。

定植直後から着果が始まるまでのナスのEC管理

EC管理も基本は廃液ECのモニタリングです。

定植直後は給液EC=廃液ECの状態が1週間ほど続きますが、徐々に廃液ECが低下してくるはずです。

これは、ナスが肥料を要求している証。

与えられる培養液濃度よりもより高濃度の培養液濃度を欲しがっているのです。

給液EC=廃液ECとなるように、給液ECを0.1ずつ上げていきましょう。

着果が本格的に始まる頃のナスに起きる事

ナスが3~5段目の開花を迎える頃、低段の果実が肥大してきます。

ここからナスの生育ステージは本格的な生殖成長へと切り替わって行くのです。

ここで注目すべきは、廃液ECの濃度。

これまで給液EC=廃液ECを目指して給液ECを上げてきた結果、給液ECは2.0~2.4くらいまで上がってきているはずです。

それに従ってナスの樹はどんどん強くなり、色が濃く葉は厚く、マッチョな姿に生長して行きます。

「ナスは肥料食い。このまま天井知らずでECが上がって行くのかな?」

と思ってしまうところですが、なんとここから逆転現象の始まり。

つまり、廃液ECが給液ECを上回るのです。

これまでなかったこの現象が意味するところ、それは「ナスが水を欲しがっている」という事。

ナスは果実を肥大させるのに多くの「水」を必要とします。

肥料成分よりも、水そのもの。

培養液の中から肥料成分よりも水を選択的に吸水した結果、廃液ECが上昇するのです。

ナスが生殖生長に移行したら、ECと給液回数を見直そう

このまま放置したらどうなるか、それが冒頭でご紹介した下葉の黄化と弱勢です。

水が足りず着果負担に負けてしまい、ナスが弱って行くのです。

絞り気味の生育でちょうど良いトマトと違う点はここ。

トマトと違ってナスは要求通りに可愛がってあげることが大事なのです。

まずはEC。基本通り、給液EC=廃液ECとなるよう今度は給液ECを下げていきます。

最終的には、EC=1.6~1.7に落ち着くはず。

季節を問わずこの濃度に落ち着くところを考えると、ナス本来の給液濃度はこのあたりのようです。

そして給液回数。

根を伸ばすためにややストレスをかけてきましたが、ここからは可愛がってあげるステージです。

給液頻度を2時間に一回 → 1時間に1回と増やします。

こうすることでナスは思う存分水と肥料を吸収できるようになり、生育が安定します。

その分給液量は倍増しますが、あとは廃液率40~50%を目安に調整するだけ。

施設によっては日射比例など制御が複雑化しますが、基本はこれです。

その後はナスの安定期。現状維持を続けるのみです

無事に生殖生長移行という難所を乗り越えたら、あとは安定期に入ります。

冬場の低温期や春先の生育回復期に給水量が大きく変動しますが、基本は変わりません。

葉枚数や芽数の管理で上手に乗り切りましょう。

ナスは本来強い作物。

トマトとの違いをよく理解し、ナスに合わせた養液管理を徹底すればそう難しいものではありません。

ナスの養液栽培に迷った時は、ぜひこの記事を思い出してくださいね。

※サムネ画像は、JAあいち豊田ホームページ参照。
https://www.ja-aichitoyota.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/newsrelease20200128nasu_nougyoutaiken.pdf

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