8年間勤めた会社を退職し、農業アルバイト生活を始めることになりました。
幸か不幸か独身なので身軽ではありますが、このモヤモヤとした不安はなんなんだ…?
ただ心配してばかりでは先に進めん!ということで、まずはお金の問題からはっきりさせることにしましょう。
まずは生活費を検証!33歳独身男の家計簿がこれだ!

実家を出てからはや15年。一人暮らしも板につき、節約上手に生活しています…
と言いたいところですが、そうはいかないのが男の独身生活。
誰にも注意されないのをいいことに、昼はコンビニ飯、夜はつまみとチューハイという生活を10年以上続けています。
食生活の改善は別テーマにとっておくとして、改善点を視覚化するために家計簿をつけてみました。支出部分をご覧ください。

…いかがでしょうか。
これまでお金に無頓着なまま生活してきた私の感想は、以下の通りです。
家賃が高い!!
家賃、共益費、駐車場代で7万円オーバーです。
大都市圏ならまだしも、ここは関西圏のベッドタウン。独身男にこの部屋は贅沢ですね。
新しいし、駅近いし、ちょっとした庭まであるし… とても気に入っていたのです。
しかし独身貴族を謳歌してきたツケを、ようやく払う時が来たようです。
農業アルバイト先が決まって落ち着き次第、引越しを検討します。
お酒代が高い!!
これも独身男あるあるかもしれませんが、とにかく毎日飲んでしまうのです。
お笑い番組を見ながらチューハイを煽っていると、いい暇つぶしになるんですよね。
ただ、体に悪いことは自覚しています。
農業アルバイトの朝は早いですし、将来の医療費を削減する意味でもお酒はほどほどにするよう努力します。
目標は月に5000円!
帰省にお金がかかる
両親の様子を確認するため月に1回ペースで帰省しています。
新幹線は高いので夜行バスを利用するのですが、30過ぎには少し辛い…!
20代の頃はへっちゃらだったんですけどね。
しかしこれは必要経費なので仕方なしです。
そのほか、もっと自炊して食費を減らそう!などと気張ってはみるのですが、果たして上手くいくのやら。
気になる税金と社会保険料!農業アルバイト生活を想定し、算出してみた
サラリーマンをやっていると、ついつい会社任せになってしまうのが税金関係と社会保険料。
なんでも結構な額を会社が折半してくれているとのことですが、農業アルバイト(=フリーター)になってもきちんと納付できるのでしょうか?
まずは収入から!
農業アルバイトの収入を確認してみた
まずは自宅から車で30分圏内にある農園のアルバイト募集をチェック!
…しかしあまりないものですね。
湖岸の広い土地と豊富な水量を生かした中〜大規模農家がわんさかあるのかと思っていましたが、めぼしいアルバイト募集は数軒のみ。
事情はともかくとして、募集内容は概ね以下の通りです。
・穀類、野菜の管理
・時給:900円〜
・勤務時間:1日8時間程度
・週に4,5日勤務
やはり農業アルバイトは甘くない!県の最低賃金(2022年5月現在)である時給896円ギリギリの設定です。
一応私は農業経験あり、大型特殊免許あり、トラクターのオペレーター経験ありなのですが、どこまで考慮されるのでしょうか…
ひとまず時給900円で月収と年収を単純計算してみましょう。
・月収:900円/時 × 8時間/日 × 21日/月 = 151,200円
・年収:151,200円/月 × 12ヶ月 = 1,814,400円
おっと…年収180万円ですね。
手取りはざっと140万円ちょっとといったところでしょうか…
ちなみに、2018年時点で日本人の手取りの中央値が254万円ほどだそうです。
そして手取りが中央値の半分である127万円を下回れば「貧困層」と定義されるそうですが、ほぼその水準ですね。
ほぼ”貧困層への仲間入り”となるわけですが、その分農業の経験を得ることができます。
お金にならない価値がある!と考えることにしましょう。
農業アルバイトの所得税を計算してみた
さてここからは、税金や社会保険料について調べてみましょう。
調べたところ、所得税とはどうやら国に収める税金のようです。
その計算について、国税庁は以下のように説明しています。
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
引用:国税庁 所得税の仕組み
サラリーマン時代は給与から源泉徴収され、確定申告することなく(年末調整はあったような…)ほったらかしにしていた所得税ですが、実は1年間の総所得に対して(所得控除を引いた上で)課税されるものなのですね。
などとここまで所得税についてお勉強したところで、早速所得税額について計算したいと思います。
※農業アルバイトの募集要項を見ると、「フルタイムのみ社会保険完備」とある場合が多いようです。フルタイム、社会保険ありの前提で計算しています。
まずは国税庁のwebサイト「 No.2260 所得税の税率」にアクセス。
まず1年間の所得税は以下のように計算できます。
所得税 = ①課税される所得金額 × ②税率 - ③控除額
そして②税率と③控除額はこちらの早見表から求められます。

農業アルバイトの年収概算は1,814,400円 ≒ 1,800,000ですので、
②税率 = 5%、③控除額 = 0円 です。
そしてややこしいのは①課税される所得金額の算出。
こちらは「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を参考に算出します。
なんて面倒なのでしょうか…
仕方なく表に従って計算してみます。
①課税される所得金額 = ④給与所得 – ⑤控除額
※④給与所得 = (年収1,800,000円 ÷ 4) × 2.8 – 80,000円 = 1,180,000円
※⑤控除額の判定 = 480,000円
というわけで、
①課税される所得金額 = ④1,180,000 – ⑤480,000 = 700,000円
ということがやっと分かりました!
つまり農業アルバイト(年収180万円)の所得税は、以下の通りです。
所得税 = ①700,000円 × ②0.05 – ③0円 = 35,000円
一苦労です…
農業アルバイトの住民税を計算してみた
続いて住民税です。
どうやら住民税は「地方税」といって市町村と道府県に納める税金のようです。
従って、国税庁のwebサイトではなく、お住まいの市町村のwebサイトで詳細を確認するいつようがあります。
以下、私の居住する自治体のwebサイト情報にのっとって計算を進めます。
まず、1年間の住民税は以下のように決められています。
住民税 = ❶均等割 + ❷所得割
❶均等割は収入に関係なく、一律です。
多くの自治体ではこの税額のようですね。
❶均等割 = 市民税3,500円 + 県民税1,500円 = 5,000円
そしてまたもやややこしいのが❷所得割です。
所得税算出で登場した、①給与所得が登場します。
❷所得割 = ❸課税される所得金額 × 税率10% – ❹調整控除額
このうち、
❸課税される所得金額 = ①給与所得1,180,000円 – ❺基礎控除430,000円 – ❻社会保険料控除253,000円 = 497,000円
❹調整控除額 = (⑤控除額 480,000円 – ❺基礎控除430,000円)× 0.05 = 2,500円
したがって、
❷所得割 = ❸課税される所得金額497,000円 × 税率10% – ❹調整控除額2,500円 = 47,200円
ここまできてようやく答えが出ましたね。農業アルバイト(年収180万円)の住民税は、地方にもよりますが概ね以下の通りです。
住民税 = ❶均等割5,000円 + ❷所得割47,200円 = 52,200円
※ただし、住民税は前年の所得を基に計算されます。初年度はこの計算通りにはなりません。
農業アルバイトの社会保険料を計算してみた
そして最後に登場するのが、社会保険料です。
社会保険料は健康保険料と厚生年金保険料からなっています。
ただ、この二つに関しては全国健康保険協会のwebサイトにある早見表を参照した方が早い!
ということで、ご覧ください。

月額150,000円の行を横にみていくだけで、保険料がすぐわかりますね。
職場が社会保険完備であれば、「折半額」を負担すれば良いことになります。
※正確には、通勤手当ほか職場から支給されるものを標準報酬の月額に含めます。少し高くなる可能性あり。
結論は、以下の通りです。
健康保険料 = 7,372円
厚生年金保険料 = 13,725円
両者を合計すると、農業アルバイト(年収180万円)の社会保険料は概ね以下のようになります。
社会保険料 ≒ 健康保険料7,372円 + 厚生年金保険料13,725円 = 253,000円
結論!独身男は農業アルバイト(年収180万円)で生活できるのか?
ここまでくれば、独身男(33)の一月あたりの収支が計算できますね。
月収151,200円に対して、
現在の生活費:160,700円
税金・社会保険料:年間合計÷ 12ヶ月 = 28,350円
さらに、車を所有しているので
自動車関係費:自動車税 6,000円÷12ヶ月 + 車検代54,000円÷24ヶ月 + 任意保険36,000円÷12ヶ月 = 5,750円
を加えると、農業アルバイト(年収180万円)の月の支出は以下のようになります。
農業アルバイトの月の支出 = 160,700円 + 28,350円 + 5,750円 = 194,800円
…月収が15万円ほどですから、全然足りませんね!!
分かってはいましたが、やはり現実は厳しい!
ただし、もちろんやりようはあります。
・家賃+共益費+駐車場代を3万円ほど削って 4万円に
・お酒をやめて12,000円を浮かす
・自炊して食費を3,000円浮かす
といった対策で、なんとか生活はできそうです。
農業アルバイトの収入を上げるためにできることを考えてみよう!
これまでみてきた通り、なんの工夫もなく農業アルバイト生活を始めるとなかなか厳しい生活が待っていることがわかりました。
貯蓄を使い果たす前に、収入向上へ向けてできることを(まだ未経験者ではありますが)思いつくままに上げていこうと思います。
経験やスキルを資料まとめ、面接に臨む
「農業経験あります」「トラクターこのくらい乗っていました」「植物工場のオペレーション経験あります」「夏の暑さには強いです」「高校野球やってました」…などなど、履歴書には収まらない自分の強みを資料にまとめると面接での時給交渉に役立つかも。ただし、先方が求めている人物像とは必ずしも一致しないかもしれませんね。スキルより長く努めてくれる人がいい…なんて思われている可能性も。
農業アルバイト先のニーズを把握した上で応募する
上に書いた通り、農家さんによって求めているアルバイト像が人によって異なるかもしれません。
・なるべく安い時給で淡々と働いてほしい
・将来農家として自立を目指しているような人は、技術を盗まれそうでいやだ
・能力次第で社員に登用したい
・能力の高い人には相応の高い時給を払って、長く働いてもらいたい
・トラクターのオペレーターであれば時給を上げても良い
などなど。
アルバイト先によってはいつまでも収入が上がらない可能性があるので、複数の面接を受けながら農家さんのニーズをしっかり汲み取る必要があります。
アルバイト探しは慎重に。
副業として、別の農家さんから仕事を請け負う
普段の農業アルバイトと並行し、別の農家さんからの依頼を副業として請け負うこともできるでしょう。
・この畑の草刈りをこの期限までに終わらせてほしい
・このハウスの栽培管理を今作の間だけ頼みたい
・ハウスのビニール張りを手伝って欲しい
こうした副業の収入は、年間20万円未満なら確定申告も不要です。
また20万円を超えて確定申告が必要になる場合は、税制上個人事業主として開業届を出す方が有利なようです。
農業アルバイト兼フリーランス 、かっこいいですね。
規格外の野菜を農家さんから分けてもらう
冒頭で書いた通り、独身男性の場合は生活費の15~20%を食費が占めています。
健康的な生活を維持しつつ食費を抑える方法として、農家さんなら必ず出る規格外品(廃棄されるもの)を分けてもらえるのでは?ということは当然考えてしまいますよね。
SNSを見ていると実際にそういったことは行われているようですので、期待はできそうです。
ただし野菜の青果価格が伸び悩んでいることや規格外品の廃棄を問題視するような世間の風潮もあり、農家さんによってはこういったものの扱いに慎重な方もおられます。
アルバイト側からアクションを起こすことは避けた方が身のためですね。
※税制上は現物支給に当たるのでしょうか?換金性はないので問題ないような気がしますが… 詳しい方おられましたら、コメントお待ちしております。
以上、税金関係については素人ながら農業アルバイトの収支についてまとめてきました。
生活は楽ではないものの農業の知識・技術を得ることができる農業アルバイト、気になっている人は参考にしていただけるとうれしいです。
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