野菜農家の先輩方が日々発信されているTwitter情報。
その中から病気や害虫に関するツィートを集め、その症状と対策についてお勉強するページです。
梅雨時は疫病に注意! 2022年 6月
関東のトマト農家さんから衝撃の画像がアップされました。
昨年7月の梅雨明け前、暗い灰色の病徴に侵され今にも枯れそうなトマトの様子です。
一体何が起きたのでしょうか?
降雨と低温で発生する病気、疫病
冒頭の写真はナス科、ウリ科野菜など広く作物に被害を与える世界的な大病害、疫病によるものです。
疫病の症状は以下の通り。
- 下葉から、暗い灰色の病斑が広がってくる
- 茎への侵入が進行すると、それより上の植物体が萎れる
- 果実に入ると水浸上の病斑が現れて、腐敗する
疫病がは、15〜20℃と涼しく、降雨等で湿度の高い条件を好みます。
そのため、梅雨時が一年で最も疫病発生リスクが高い時期なのです。
疫病の恐ろしさは、被害拡大のスピード!

疫病は糸状菌(カビ)の一種ですが、ライフサイクルの途中で「遊走子」と呼ばれる状態になります。
この遊走子、鞭毛がついているので水の中を泳ぎ回ることができるので、雨やハウス内に湿度がこもって作物が濡れているとあっという間に畑中に病気が広がってしまうのです。
私も経験がありますが、「お、一株疫病でてるな。明日農薬かけよー」と思いひと晩たつと、圃場のじつに1/3まで広がりもう手遅れ… ということが起こります。
怖いですねー
泥跳ね対策と予防的な農薬散布が重要
疫病は土壌に存在し、条件が揃う梅雨時になると一斉に広がります。
雨が降ったときの泥はねが植物に付着するとそこから疫病菌が侵入しやすくなりますので、まずはマルチを張る、または稲わらを敷くなどして泥跳ね対策をすることが重要です。
また降雨が続くと予想される場合には、事前に殺菌剤を散布することで予防効果が期待できます。
疫病におすすめの殺菌剤は、ランマン!
疫病を封じ込めるポイントは、やはり高速で動き回る遊走子を止めること。
植物体上に到達した病原菌(被のう胞子)が、遊走子のうを形成する活動、ならびに遊走子のうから遊走子を放出する活動の両方を阻止します。
引用:IBJ防除情報第73号 石原産業
梅雨時には、1本持っておくと安心です。
気温が上がってトマトの黄化葉巻病リスクが増加!2022年4月
長野県病害虫防疫所は、トマトのウィルス病である黄化葉巻病が広がっているとして注意報(病害虫発生予察注意報)を発表しました。
気温の上昇とともに被害が広がるトマトの大病害です。
九州でも黄化葉巻病の被害が進行中 2022年6月
こちらのミニトマト農家さん、黄化葉巻病に感染した株の抜き取りをされています。
毎年、最終的に全滅してしまうとのことです…
黄化葉巻病の恐ろしさが分かりますね。
黄化葉巻病とは?
タバココナジラミが媒介するウィルス、TYLCVの感染によって引き起こされる病気です。
感染すると生長点が黄化して生育がストップし、収量を大きく落とします。
黄化葉巻病の対策は?
感染源であるタバココナジラミに対する対策がメインです。
- 苗にタバココナジラミが寄生していないか確認する
- ハウスの開口部に0.4mm以下の目合のネットを設置する
- 黄色粘着板をハウス内に設置して毎日観察し、タバココナジラミの発生をいちはやく検知する
- 感染した株はすぐに引き抜いて処分し、感染源を残さない
※参考:トマト黄化葉巻病対策の手引き 山口県農林総合技術センター
タバココナジラミに効果のある農薬は?

同じコナジラミでも、黄化葉巻病を媒介するタバココナジラミと媒介しないオンシツコナジラミでは殺虫剤の効果に違いがあります。
タバココナジラミに効果が高い殺虫剤を選びましょう。
山口県農林水産総合技術センターの試験によると、ベストガードやサンマイトの効果が高いようです。
このほか、黄化葉巻病耐病性のトマト品種が多数利用可能です。
高温によって品種の耐病性が打破されるなど完璧に防ぎ切ることは難しいですが、リスクを下げることは可能です。
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