大河の轟きはトキタ種苗株式会社が開発したネギ品種です。
その特徴を調べてみましょう!
ネギ品種「大河の轟き」の特徴
作型 | 夏ネギ~冬ねぎまで、秋冬ネギが最も適する |
葉色 | 濃緑色 |
品質 | 首が固く締まる |
環境適応性 | 湿害に非常に強く、夏越し性が高い |
作業性 | ヌルが少なく皮むき適性が高い |
受賞歴 | 第67回千葉県野菜品種審査会(ネギ・秋冬どり)一等特別賞 |
まずはメーカー提供の情報をもとに、大河の轟きの特徴を見ていきましょう。
大河の轟きは、2020年の野菜品種審査会で一等特別賞を獲得しています。
夏越しの厳しい環境で秀品率が50%に落ち込む品種がある中、大河の轟きは驚異の83%!
その強さの秘密がこちらです。
根が強いから災害に強い
温暖化の影響なのか、異常気象が各地で被害をもたらしていますね。
2022年は超大型の台風15号や北日本を襲った豪雨など、栽培環境は厳しさを増しています。
そんな中、大河の轟きは根の強さで勝負!
根は湿害に強めで、回復も早い
引用:ネギ参謀 ネギ新品種特集!
高温、過湿、水没といった夏越し栽培のリスクを根の強さでカバーします。
葉が肉厚でしなやか、だから強風に強くて葉が折れにくい
ネギの生育を脅かすもう一つの敵は、強風による葉折れです。
白ネギは葉の部分を食べるわけではないので直接品質に関係がありませんが、風で葉が折れると傷口から病気が侵入しやすくなり、圃場に病害が蔓延する原因となります。
そんなネギの弱点を、大河の轟きは葉の厚さで解決!
葉が肉厚 葉に弾力がありしなやか 大風が吹いてもさほど葉折れしなかった
引用:収穫が近い時期の大風にも強い【大河の轟き】ネギ 千葉県匝瑳市12月初旬【トキタのネギ産地レポート】
動画を見ていただくと分かりますが、比較品種と比べて葉折れがかなり少ない!
一目瞭然の能力差です。
大河の轟きの適作型、秋冬ネギとは?
大河の轟きは夏越しの作型、特に秋冬栽培を得意とする品種です。
秋冬ネギは、野菜生産出荷安定法により以下のように定義されています。
春ねぎ(四月から六月までを主な出荷時期として生産されるねぎをいう。)
引用:e-GOV 昭和四十一年政令第二百二十四号 野菜生産出荷安定法施行令
夏ねぎ(七月から九月までを主な出荷時期として生産されるねぎをいう。)
秋冬ねぎ(十月から翌年三月までを主な出荷時期として生産されるねぎをいう。)
ちなみに、秋冬ネギはネギ全体の栽培面積の6割以上を占めるもっとも一般的な作型です。
そして秋冬ネギの生産をリードするのは埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県といった関東地方の生産地。
それでは、10月から翌年3月までの6か月間にわたり出荷される秋冬ネギの一般的な栽培スケジュールを見てみましょう。
ネギは播種から収穫までにかかる時間が非常に長い作物です。
なかでも秋冬ネギは、
- 定植後の春の低温、遅霜
- 梅雨時期の大雨
- 梅雨明けの高温乾燥
- 収穫期の低温、降霜
と生育期間全般を通して厳しい環境にさらされるため、環境変化に強い品種が求められる作型といってよいでしょう。
秋冬ネギを取り巻く栽培環境の変化について
地球規模の気候変動は秋冬ネギの栽培環境にも影響をもたらしています。
近年の夏の高温化、豪雨災害や大型台風の増加により、夏から秋にかけてのネギの栽培は年々困難になっています
引用:タキイ種苗 異常気象に負けない、「根深ネギ」栽培のポイントと品種の選定
近年では激しい異常気象が原因で、ネギ畑が水没してしまったり、根腐れしたりすることも起きるようになりました。
引用:YUIME Japan 異常気象でネギの収穫が不安定。栽培計画のポイントを教えて
特に夏の環境がより厳しくなる傾向にあります。
秋冬ネギの栽培にあたっては、高温や湿害に強い品種を選定する必要があるといってよいでしょう。
白ネギ品種「大河の轟き」の評価は?
さて、ここからはユーザーの反応を見ていきましょう。
まずは高評価から!
「大河の轟き」が高評価の理由
青森県の資材屋さん
生育後半によく太り、かつ柔らかくておいしいとのこと。
農家さんにも消費者にもうれしい品種ですね。
千葉県のネギ農家さん
白ネギは出荷作業に時間がかかる作物ですが、しわになりにくくてゴミが少なく、出荷も選別も楽だそうです。まさに省力品種!
埼玉県のネギ農家さん
夏越しの栽培でも苦労せず、太さも色も伸びもよいとのコメントです。
夏の暑さ厳しくなる時代ですから、高温に強い品種がこれからもますます有利になっていくでしょう。
鳥取のネギ農家さん
今年は台風14号の襲来で厳しいシーズンでしたね。
品種によってはボロボロになってしまったそうですが、大河の轟きは無事に生き残ってくれたそうです。
不良環境下でも収穫出来て収入につながる、頼もしい品種です。
一方、こんな意見も
群馬のネギ農家さん
昨年はよかったそうですが、今年は生育が遅れ気味なのでしょうか。
初期生育が遅いとの意見もありますし、ややスロースターターなのかもしれません。
以上、ネギ品種「大河の轟き」について調査してきました。
秋冬ネギの栽培環境が年々厳しくなるなか、湿害に強く夏越し適性の高い大河の轟きが高い評価を得ていることが分かりましたね。
不良環境下でも生育が安定して収益を維持できることが、今後の品種選定のキーワードになると思われます。
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