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リンが無ければ農業が終わる!人類も終わる!!リン資源が枯渇するって本当ですか?

2021年7月、中国産のリン肥料価格が急騰しました。

中国でリン酸肥料の価格上昇が止まらない。環境保護策などでリン鉱石の生産量が減少した上、リン酸肥料工場の稼働率が低く、生産量が追い付かないためだ。

日本農業新聞 2021年7月25日

国際的な穀物価格の上昇で肥料全体の需要が高まったことや、生産国の中国が内需を優先した政策をとったことが原因のようです。

ただし、リンが高騰するたびに出るのがこの話題。

「リン資源が枯渇する日も近いらしいよ」

一体どう言うことなのでしょうか。

リンが枯渇したらどうなるのでしょうか。

目次

過去にもリン肥料の高騰があった!

それは2008年のことです。

はたけもんは大学に入学したばかりでぽーっとしていましたが、リン高騰のショックを覚えておられる農業関係者は多いはず。

当時紙面を賑わせたのは、こんな言葉でした。

現在の経済条件で開発可能な埋蔵量は60〜130年で枯渇する

ルーラルネットより

…もうすぐではないですか。

資源の枯渇、えらいこっちゃですが実際のところ誰がどんな風に困るのでしょうか。

リンは生き物の活動に必要不可欠な元素。なくなったら野菜もお米も花も栽培できません!人間も生きていけません!

Pure Medical attitudeより

人体を構成する元素のうち、リンは六番目に多い元素です。体重の1%を占めているとか。

まず骨はリン酸カルシウム。細胞膜はリン脂質。遺伝子の構成要素であるDNAもリンを含んでいます。

…リン、めちゃくちゃ大事ですね。

人間を構成するリンは野菜やお肉からきているわけですが、植物の場合はどうでしょうか。

実はリン、肥料の世界では「実肥え」と呼ばれます。

リンが欠乏すると着果が悪くなり、果菜類の収量が上がらないと言うわけです。

開花や着果に関係するリン、人と同じで細胞膜やDNAの構成要素としても欠かせません。

つまり、人にも植物にも必須で大事な要素だということなのです。

日本はリン資源が乏しい国だった!

運び屋より

リン肥料の原料はリン鉱石です。

そのリン鉱石、2種類あるみたい。

リン鉱石(phosphate ore)は、リン酸塩鉱物を主成分とした鉱石である。リン鉱石は、その成因によって、無機質と有機質リン鉱石とに分けられる。

QSTより

マグマの活動によるものとと、生物の死骸が堆積したもの。

そして残念なことに、これら2つとも日本では採れないらしいのです。

そう、資源の乏しい国日本にありがちな「100%輸入に頼っている」状況です。

ちなみに、輸入元は中国、ヨルダン、モロッコ、南アフリカなど。

2008年、リン鉱石大高騰!その理由とは

農林水産省

1年で5倍に高騰したリン鉱石の価格。

食糧需要の増加やバイオ燃料の需要拡大を受けた産出国が、内需優先の政策を進めたことがきっかけだったようです。

その後落ち着いたものの肥料価格が高騰し、農家さんが大変な目にあいました。

ちょっとしたきっかけで立ち行かなくなるほど、日本の農業は危ういバランスの上で成り立っているのですね。

枯渇するといいながら、本当はたくさんあったリン鉱石!モロッコに大量の資源あり

さて、問題はリン鉱石がいつまで採掘できるのか、いつ枯渇するのかです。

2008年の価格高騰を受けて国際肥料開発センターが調査を行ったところ、モロッコに大量のリン鉱石が眠っていることが判明。

リン鉱石の経済的鉱量の推定値が大幅に増加したが,Van Kauwenbergh (2010)は,リン鉱石からのリン酸肥料の年間製造速度が続くとすると,300〜400年間はリン酸肥料の製造が可能であると試算した。

西尾道徳の環境保全型農業レポートより

…まだまだあるじゃないですか。

大騒ぎしたのがばかみたいですね。

そうは言ってもリンは有限な資源。無駄遣いを防いで大事に使おう

前述の通り日本はリン資源の乏しい国です。

リンを有効活用するための取り組みをご紹介します。

下水からリンを取り出して再利用する

リン資源枯渇の危機予測とそれに対応したリン有効利用技術開発より

実は、下水処理場から出る汚泥の中にリンがたくさん含まれています。

この汚泥からリンを取り出す技術が開発され、実用化されているのです。

都市下水処理場の余剰汚泥が蓄積したリンを,70°C,1 時間程度加熱するだけで簡単に取出すという Heatphos 法を開発した

リン資源枯渇の危機予測とそれに対応したリン有効利用技術開発より

海外に頼らないリンの調達法です。

コスパが課題のようですが、長い目でみればお得な選択肢に思えます。

土壌分析で畑に残ったリンを測定。リンを与えすぎないように注意する

リンは畑に残りやすい肥料です。

毎年のようにリンの施肥を続けていると、いつの間にかリンの与え過ぎ状態に。

リン酸は、作物の生育や開花・結実、果実の甘味に関与しており、不足すると作物の収量・品質が低下してしまいます。このため、何とか作物にリン酸を吸収させようと必要以上にリン酸質肥料や堆肥などが施用されてきました。そのため、日本には、土壌中に有効態リン酸が過剰な田畑が多くなっているのです。

今さら聞けない営農情報】第21回 土壌の改良(5) リン酸より

ときどき畑の土を分析に出すことで、リンの無駄遣いを防止できます。

土着の菌根菌を利用する

植物は根から肥料を吸収しますが、それを助けてくれる菌が存在します。

それがアーバスキュラー菌根菌(略してAM菌)。

土壌リン酸の有効利用によるリン酸施肥削減技術より

彼らを利用することで、畑に残ったリンを有効利用できます。

資材もあるみたい。

有限の資源であるリン、賢く使いましょう。

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